卒業式で和装を着る際、袴のイメージが非常に強いと思います。同じ、和服の正装として振袖という選択肢もありますが、振袖のみを着て卒業式に出席するのは問題ないか気になる方もいると思います。
そこで、この記事では卒業式での振袖着用の可否はもちろん、卒業式で袴を履く理由や和装に合わせる履物などを紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
卒業式に袴が履かれるようになった由来
短大や大学、専門学校の卒業式などでは、卒業生はもちろん、教職員なども袴を履く女性が非常に多いです。逆に、卒業式以外では袴を履いている女性を見る機会はほとんどありません。
では、どうして卒業式では女性が袴を履くようになったのでしょうか。その理由は、袴の歴史にあります。
袴は古墳時代から存在していたとされており、平安時代には貴族の礼装として、宮廷につかえていた身分の高い女性が十二単の一部とし、用いられました。その後、江戸時代には一時的に宮廷の女官以外の女性が、袴の着用を禁止とされてしまったものの、明治時代になり女性の教育が進むとともに、女学生が袴を着用するようになりました。
袴は着物よりも動きやすく、当時の学校生活が座学だけでなく、体育や実習も含まれていたためです。また、袴は座る際の裾の乱れが少ないのも大きな特徴のひとつで、教育機関も袴の利便性を認め、袴着用を許可しました。
明治時代は、すべての女性が学校へ通えるわけではなかったため、袴は女性の学び舎での活動の象徴となりました。学校で学ぶ女性は、袴を身に着けることで学問への意欲や自立心を表現し、その結果、袴は学問の象徴として定着したと考えることが出来るようです。
現在では、洋服が一般化し、卒業式が袴を履く女性の主な機会です。袴はその機能性やデザイン性から人気があり、卒業式にふさわしい礼装として選ばれることが多いです。
また、袴は一般的な日常ではあまり着用されないため、卒業式での特別な装いとして人気なのも選ばれる理由のひとつと言えます。このように、卒業式で女性が袴を履くのは、袴が女性の学問の象徴として歴史的に定着し、その特別な意味合いから選ばれるからです。
卒業式は振袖だけでも大丈夫
卒業式において、女性が着用する和装として一般的に袴が挙げられますが、実際には振袖を着ることも十分にマナーに適っています。振袖は一般的に成人式で着用されることが多いため、卒業式での使用に不適切と感じる方もいるかもしれませんが、振袖は未婚女性の礼装であり、卒業式にもふさわしい服装です。
また、振袖と袴との組み合わせがしっくりこない時もあるかもしれません。実際、袴を合わせると振袖の柄が隠れてしまう可能性がありますが、振袖単体で着用することで、その美しいデザインや華やかさを十分に活かすことができます。
また、振袖をレンタルすると、袴よりも費用が高くなってしまうというデメリットもありますが、すでに振袖を持っている場合は、追加のレンタル費用がかからず、卒業式にふさわしいコーディネートを帯と合わせて楽しむこともできます。
卒業式に振袖だけを着用しても、十分にフォーマルであり、マナーに適った服装と言えます。振袖は未婚女性の礼装であり、その美しさや格式を堂々と卒業式の場で披露することができます。
振袖で卒業式に出席するメリット
ここでは、振袖で卒業式に出席するメリットを紹介します。卒業式に参加する際、袴ではなく振袖を選ぶことには、いくつかのメリットがあります。
まず、成人式で着用する「中振袖」は、卒業式でも着ることができるため、すでに振袖は成人式で購入したり、家族から借りたりで持っている方は追加の費用をかけることなく利用できます。袴を着る場合は、レンタルが必要なことが多く、その費用を抑えることが可能です。さらに、振袖は結婚式など他の特別なイベントでも着用できるため、長く活用することができます。
また、振袖の中でも、成人式で着用する「中振袖」は、より華やかなデザインが多く、卒業式用とされるレンタル品よりも、好みのものを見つけやすいかもしれません。また、振袖の柄が袴で隠れてしまうことがないため、存在感があり、特別な日をより華やかに演出できます。
袴を履く中で、振袖を選ぶことで個性を出すことも可能です。学生生活の最後を華やかにするために、振袖を選ぶことはおすすめと言えます。
振袖を美しく着こなすコツ
振袖を美しく着こなすためには、着付けに向けた準備が欠かせません。まずは着物を最適な状態に整えることから始めましょう。
振袖を着る前日までに、着物を風通しすることが大切です。着物ハンガーに掛け、風通しを行うことで、たたみジワを伸ばし、美しい状態を保ちます。シワが残っている場合は、低温でアイロンをかけ、その際にはあて布を使用しましょう。
そして、着物にはさまざまな下着や小物が必要です。帯や帯締め、足袋、そして着付けに必要なコーリンベルトなど、様々です。
特に、長襦袢には半衿を縫い付ける必要があります。着付け当日の手間を省くためにも、着付けの前日までに半衿を付けておくことがおすすめです。
半衿を縫い付けるのが手間な場合は、両面テープやファスナーで取り付け可能な半衿を選択しましょう。それを活用することで、着付け作業がスムーズに行えます。
振袖を美しく着こなすためには、着付けの準備が重要です。着物の風通しや小物の準備を整え、着付け当日には余裕を持って挑みましょう。
足元は草履とブーツどちらが良いか
卒業式の足元には、草履とブーツの2つの選択肢がありますが、どちらが良いかを考える際には、それぞれの特徴や状況に応じて判断する必要があります。
まず、草履の良さは、和装に馴染みやすく、上品で古風な雰囲気を演出できる点です。草履は着物や袴との相性が良く、足元をすっきりと見せることができます。
しかし、脱ぎ履きは比較的簡単なものの、歩き慣れていない人にとっては少し歩きにくいかもしれません。さらに、悪天候の場合は草履の底が濡れて滑りやすくなり、足元が冷えやすいという点も注意が必要です。
一方、ブーツはヒールが高いため脚長効果が期待でき、スタイルをより良く見せることができます。特に袴との組み合わせは、レトロで可愛らしい印象を与えることができます。
また、普段から履く機会があるため、歩きやすさや防寒対策にも優れているのも嬉しいポイントです。ただし、ブーツは脱ぎ履きに時間がかかる上に、デザインによっては和装との相性が悪い場合もあるため、選ぶ際には慎重に検討する必要があります。
つまり、草履は和装との相性が良く、足元をスッキリと見せたい場合に適していますが、歩きにくさや悪天候時の注意が必要です。一方、ブーツはスタイルアップや防寒対策に優れており、普段使いもできますが、デザイン選びや脱ぎ履きに時間がかかるというデメリットもあります。そのため、卒業式の足元を選ぶ際には、自身の好みや状況に合わせて慎重に決めることが重要です。
まとめ
卒業式の和装は袴が定番ですが、振袖のみを着て卒業式に出席をすることは問題ありません。振袖のみであれば柄が隠れることがなく、振袖のデザインをそのまま生かせるという大きなメリットもあります。よりゴージャスで、華やかなデザインとなるため、卒業式で見つけやすく、成人式の振袖をそのまま着用することも可能です。
振袖は着用前に、風通しをしたり小物をそろえたりと準備が必要なため、注意が必要です。
ぜひ、卒業式に振袖を着て一生の思い出を作ってみてください。