
振袖を着ると、人によっては窮屈に感じたり、苦しくなってしまう場合があります。しかし、苦しくならないための着付けのポイントを理解すれば、十分に予防可能です。また、本記事では、振袖を着ているときに苦しくなった場合の対処法も合わせて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
振袖を着ると窮屈に感じる人がいるのは着崩れ防止のため
振袖を着た際に苦しさを感じるのは、着崩れを防ぐためにしっかりと締め付ける必要があるためです。着物は洋服のようにボタンやファスナー、ゴムベルトがついていないため、身体の動きで崩れないように帯や紐で固定されます。
とくに振袖は格式高い着物であり、美しい着姿を保つために身体にぴったりと合わせる必要があります。また、着物は胴体の凹凸が少ないほど美しく見えるとされており、そのためにタオルなどを使って身体のラインを補正することもあります。
こうした理由から、とくに成人式で初めて振袖を着る人にとっては、洋服と比べてかなり窮屈に感じられることがあります。
苦しくならないための着付けのポイント
振袖を着る際に「苦しい」と感じないようにするためには、着付けの段階でいくつかのポイントに注意することが重要です。着物に不慣れな人でも快適に振袖を着るために、以下のような工夫が役立ちます。
締め付けの少ない下着をつける
まず一つ目のポイントは、下着の選び方です。振袖では、胸元を平らに整えることが基本とされています。これは帯揚げがきれいに乗りやすくなるだけでなく、着崩れを防ぐ効果もあります。
そのため、一般的なワイヤー入りのブラジャーをつけたまま振袖を着ると、みぞおちの位置に紐があたって痛みを感じることがあります。締め付けられることで、息苦しさや不快感が増してしまう原因にもなるのです。
したがって、ノンワイヤーのスポーツブラや和装専用のブラジャーなど、締め付けが少なく平らな胸元を作りやすい下着を選ぶことが推奨されます。
着心地の良い腰ひもを選ぶ
次に大切なのが、腰紐の選び方です。腰紐は、着物の裾を支えるために使われる重要な道具です。とくに幅が広く厚手で良質な素材の腰紐を使うことで、身体への負担を減らしながらしっかりと着物をホールドできます。
また、最近ではゴム素材を使った腰紐も多く販売されています。これを使用することで伸縮性があり着心地が良くなるだけでなく、振袖にシワが寄りにくくなるでしょう。
さらに伊達締めに関しても、シャーリング加工がされていたり、ベルクロテープ式で着脱しやすいものを選ぶことでより快適な着心地が得られます。
紐を締める前に深呼吸をする
三つ目のポイントは、紐を締める前に深呼吸をすることです。成人式などの大きな行事では、時間に追われながらの準備になることが多いため、緊張からついつい呼吸を止めてしまう人もいます。
しかし、息を止めたままの状態で紐を締められてしまうと、後で胸が圧迫されて苦しくなりやすくなります。そのため、紐をかけられる前には必ず深呼吸をして、胸をしっかりと広げた状態で締めてもらうのが理想的です。こうすることで呼吸に余裕が生まれ、後々の不快感を軽減できます。
キツいと感じたら無理せず伝える
最後に、着付けの段階でキツいと感じたらすぐに伝えることも重要です。プロの着付師であっても、着ている本人の感覚までは完全にはわかりません。そのため、着付けの途中で締め付けがきつい、苦しいと感じた場合には、我慢せずにその場で伝えるようにしましょう。
着付けの専門家であれば、着崩れを防ぎつつ快適さを保てるように微調整してくれます。無理に我慢してしまうと、式典の最中に体調を崩してしまう可能性もありますし、自分で後から緩めようとして逆に着崩れを招いてしまう危険もあります。
振袖着用時に苦しく感じた時の対処法
振袖を着ていると、最初は問題がなくても時間が経つにつれて苦しく感じてくることがあります。そんなときの対処法を以下で紹介します。
帯締め・紐を少し緩める
まず1つ目は、帯締めや紐を少し緩める方法です。帯締めや腰紐などが身体を圧迫して苦しいと感じたら、両手で帯締めを軽く掴んで少しだけ緩めると、呼吸が楽になります。
ただし、緩めすぎると着崩れの原因になるため、慎重に調整することが大切です。もし帯締めを緩めても苦しさが改善されない場合は、帯揚げの内側にある紐を自分と反対側へそっと引っ張り、紐が見えないように帯の中に押し込んで整えます。
帯を下に引く
2つ目は、帯を下に引く方法です。帯の位置が高すぎると胃のあたりを圧迫してしまい、息苦しさの原因になります。その場合は、帯の下部分を軽く下に引いて、上部に少しゆとりを作ることで圧迫感を軽減できます。ただし、勢いよく引いてしまうと帯が緩みすぎてしまうので、少しずつ様子を見ながら調整するのがポイントです。
胸紐を結びなおす
3つ目は、胸紐を結び直す方法です。帯や帯締めを調整しても苦しさが解消されないときは、胸に巻いている紐が原因かもしれません。この場合は一度胸紐を外して、大きく息を吸って胸を広げた状態で、みぞおち部分を避けて新たに結び直します。そうすることで呼吸がしやすくなり、苦しさも和らぎます。
まとめ
振袖は美しく格式ある和装ですが、着慣れない方にとっては締め付けが強く、苦しさを感じることもあります。本記事では、苦しくならないための着付けの工夫や、万が一苦しくなった際の対処法をわかりやすく解説しました。下着選びや紐の締め方、深呼吸のタイミングなど、ちょっとした工夫で快適に振袖を楽しむことができます。成人式や特別な日の一着を、最後まで笑顔で着こなす一助になれば幸いです。
