振袖は、成人式にふさわしい格式や美しさを象徴し、特別な日にふさわしい装いとされています。しかし、なぜ成人式に振袖を着るのか理由を知らずに振袖を選ぶ人も多いのではないでしょうか。成人式に振袖が一般的に着用される理由は、その起源や文化的背景に由来しています。ここで今回は、振袖の歴史と成人式との関連について解説します。
そもそもなぜ成人式に振袖を着るのか
成人式に振袖が着用される理由は、華やかさや美しさだけでなく、その象徴的な意味や文化的背景も関係しています。振袖は、未婚女性の第一礼装であり、格式の高い装いとして位置付けられているのです。
成人式は、人生の重要な節目のひとつであり、冠婚葬祭の中でもとくに重要な儀式。ここでは、成人式で振袖が着用される理由を詳しく解説します。
格式の高さと象徴性
振袖は、伝統的な着物の中でもとくに格式が高く、未婚女性の装いとして一般的です。成人式は、若者が社会的な大人としての立場に移行する節目のイベントであり、その重要性を反映して、振袖のような格式高い服装が選ばれます。
家族や周囲への感謝と自己の成長の表現
成人式は、単なる個人の成人を祝うだけでなく、家族や社会からのサポートや教育への感謝の意を表す場でもあります。振袖は、家族や周囲に感謝を伝えるための装いとしても機能し、自己の成長と責任を示すための象徴です。
伝統と縁起のよさ
振袖には、日本の伝統や文化に根ざした意味があります。振袖の名前の由来である「振る」という言葉は、厄を祓うために袖を振るという行為に由来しているのです。成人式で振袖を着用することで、厄を祓い、新たな人生の段階に清らかな心でのぞむという意味合いがあります。
振袖と成人式の歴史・ルーツ
振袖は、江戸時代からの長い歴史をもち、その起源は小袖という着物にさかのぼります。小袖は、元々は男女問わずに着用されていましたが、舞踊などで袖が長い方が美しいとされ、袖の長さが徐々に延びて振袖の形になりました。
振袖の意味と習慣
振袖の袖丈が長くなった理由には、厄を祓うためや求婚の答えとして袖を振る習慣が関わっています。また、江戸時代中期には、振袖が未婚女性の身分を示す重要な衣装として認識され、関所を通過する際に着用が義務付けられることもありました。
しかし、日常生活での着用は不便であるため、晴れの日や特別な行事でのみ振袖が着用されるようになったのです。
成人式の起源と意義
一方、成人式の起源は、第二次世界大戦後の混乱期に遡ります。敗戦によって若者たちが希望を失った中、埼玉県蕨市で青年祭として「成年式」が開催され、これが全国的に広まって現在の成人式の形となりました。
成人式は、若者が社会的な大人としての一歩を踏み出す重要な節目であり、振袖はそのような特別な日にふさわしい格式の高い装いとして選ばれます。
振袖の色・柄ごとの意味合い
好みの色やデザインで振袖を選ぶ人が多いですが、実は振袖の色や柄には意味合いがあり、他者に与えるイメージが変わってきます。
振袖の色
赤色は、神聖な色とされており魔除けの意味合いがあります。また、太陽や炎を象徴する色でエネルギッシュなイメージを与えるのです。青色は、空や海を連想させ、知的や冷静さを表しています。黄色は、希望や知性の意味合いがあり明るく元気なイメージです。
紫色は、聖徳太子が定めた冠位十二階での最高位の色であり、高貴を意味します。優雅で気品高いイメージを与えるでしょう。白色は清純や無垢を表し、肌を白く美しく見せる効果が期待できます。黒色は冠婚葬祭でフォーマルな装いとして身につけることが多い色です。クールで大人っぽい印象を与えるでしょう。
振袖の柄
振袖の柄は「古典柄」や「モダン柄」など種類があり、さまざまな柄が描かれています。たとえば、鶴の柄は長寿の意味合いがあり、松竹梅は厳しい寒さに耐え抜く植物であることから縁起がよいとされているのです。
松は冬でも緑を保ち寿命が長いことから長寿の意味合いがあり、竹は折れにくく成長が早いことから成長の意味合いがあります。また、梅は雪のなかでも美しい花を咲かせることから強さや生命力の意味合いがあるのです。菊は高貴な花であり、長寿や無病息災などを意味しています。
このように、古典柄には縁起のよい柄が描かれておりひとつずつ意味合いがあるため、それぞれの柄の意味合いがわかれば振袖選びもより楽しめるでしょう。
まとめ
振袖は未婚女性の第一礼装であり、晴れ着として成人式に最適な服装といえます。振袖はただ華やかに見せるために柄が描かれているわけではなく、柄や色には願いや意味合いが込められているため、節目の日に着用すると縁起もよく愛着をもてる一着となるでしょう。
成人式や振袖は、日本ならではの特別な伝統文化であり本人のみならず家族にとっても大切な節目です。歴史や意味合いを理解することで振袖選びの幅が広がり、成人式を迎える心境にも変化があります。好きな色やデザインで振袖を選ぶのも素敵ですが、ぜひ振袖に描かれている柄にも注目して振袖選びを楽しみましょう。